庭園を通し、大気へと連がる、空間美学をまなぶ。

庭園倶楽部2024

2024年度 会員募集

2024年5月〜12月 金曜日19時〜21時 土曜日

「東洋の風景と庭園の思想」

講演会1回・特別研修旅行1回・対談1回・一日見学2回(特別研修旅行は参加費別途)


全体構成+講師=進士五十八(風景学・造園学)

ゲスト講師=李玉紅(上海交通大学准教授)、落合陽一(メディアアーティスト)

ワタリウム美術館 メンバーシップ会員の方庭園倶楽部2022からご継続の方新・和室学2024会員の方には割引がございます。
ワタリウム美術館1F受付でもお申込いただけます。

人間は、大きな自然に包まれて生きてきた。しかし、自らの居場所には安全安心で心地良い空間を求めて庭園を必要とした。生きるに不可欠な水や食を身近に確保するために、動植物を囲い込んだ圃、園、囿を営む。これまで庭園倶楽部では、多様多彩な庭園とその愉しみ、魅力を学んできた。本年は「庭園」の根本にある風土と、自然風景に「人間と自然の関係性」を探ろうと思う。ややもすると、西洋原理に支配されている現代社会ではあるが、それとは異なるアジアモンスーン気候と東洋人の生き方の意味を〈庭園と風景の現場〉を歩いて東洋の意味を考えてみたい。

◆スケジュール
◎ 事前講演会 5月17日(金)2024年 19:00− 【庭園倶楽部2024の方は御招待】

いまこそ、東洋の自然風景と園林の思想を深めたい 
講師=進士五十八 + 李玉紅

大自然に人為を内包する東洋のAgingの美とエコシステム。中国の風景名勝区の景観多様性を知る。

① 講演会 8月2日(金)

中国・韓国・日本の庭園、立地・空間・景観・意匠の多様性

講師=進士五十八
「ランドスケープ・アーキテクチャア」を日本では「造園学」、中国では「風景園林学」、韓国では「造景学」という。近代以降はグローバル化がすすみ、日韓はもちろん、3000年の歴史の中国でも現代化がすすみ、都市景観の西欧化が著しい。景観の画一化に対して、「東方のデザイン」が標榜され、日本でも地方の「地域らしさ」が強調されている。庭園多様性、さらには景観多様性の魅力と重要性を考える。

◎特別研修旅行 9月7日(土)〜9月10日(火)

中国風景園林と上海現代アートの旅 訪問地=上海・黄山・蘇州

同行=進士五十八+李玉祥
中国を代表する郷村民居撮影家、李玉祥先生の黄山スタジオ見学と写真家の郷鎮民居作品論と風景観から芸術論を聞く。

② 対談 10月25日(金)

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂
講師=落合陽一 + 進士五十八

自然に順い自然を超える。東洋の自然共生と環境生活(里山生活)。計算する森羅万象の旅へ。

③ 一日見学 11月9日(土)

「川合玉堂アトリエ」と御岳渓谷の風景

同行=進士五十八
近代数寄屋建築家・吉田五十八の美術館と造園家・中島健の枯山水。庭園から眺められる近景の大樹、背後の杉林、中景の民家や対岸の斜面林、遠景の紅葉が、美しい渓谷美へと連ながる一幅の日本画のようである。谷地形に囲まれ安らぎと安定感を味わえる現代東京の名園である。「澤乃井」の小澤酒造から渓谷沿いの滝や、寒山寺、河畔の遊歩道を歩きたい。

④ 一日見学 12月14日(土)

中野区「哲学堂公園」
同行=進士五十八
世界の哲学者と哲学を学ぶための道場として、日本初の哲学者・井上円了博士が構想した庭園。武蔵野の風景地に立地する「哲学の77場」を構成したユニークな公園。また近年、ハンガリー生まれの彫刻家、ワグナー・ナンドールの作品「哲学の庭」も併設された。「哲学堂公園」は武蔵野台地と妙正寺川を敷地とし、六賢台から武蔵野と富士山を眺み、「哲学の庭」は世界の平和を考えることの大切さを学べる。

◆講師紹介
進士五十八:農学博士、造園学・環境学が専門。東京農業大学名誉教授・元学長。日本学術会議会員。日本造園学会長、日本都市計画学会長、日本生活学会長など歴任。ここ8年は福井県立大学長、福井県政策参与として地方の重要性を追求してきた。みどりの学術賞(2015)、紫綬褒章(2007)ほか多数。

李玉紅:上海交通大学設計学院風景園林学科准教授、博士(造園学)。上海交通大学芳香植物研究開発センター副主任。中国、上海市、上海交通大学から教育と科学研究などの奨励20余項を獲得した。

落合陽一:1987年生まれ。メディアアーティスト、筑波大学准教授・デジタルネイチャー開発研究センター長。2025年日本国博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー、東京都現代美術館(2020)、Arts Electronica(オーストリア、2021)、日下部民藝館(2022)など、作品展示多数。

李玉祥:中国全土の郷村民居を長年にわたり踏査の基幹撮影家。黄山風景区内の宋代民居・宏村や世界文化遺産の福建土楼の人的居住空間と自然環境が融為一体の建築風格と天人合一的哲学思想を表現するなど30有余年郷土文化撮影家、民族学家として大活躍。